一粒の種(1)
キキちやんが原っぱで遊んでいると、一人の白髪
おじさんが現れて、
「お嬢さん、いい物を上げよう」
と、言って、キキちゃんの手の平に小さな黒い物を
くれました。
「おじさん、キキ、お母さんから人から物をもらったら
いけませんと言われているの」
「そうかい、それはすまないね、でも、これは毒の
お菓子でもないよ、綺麗な花の咲く種粒なんだよ」
「きれいな花が咲く種なの」
そばに友達のミミちゃんとモモちゃんも一緒でした。
花の種を貰ったキキちゃんはマンションに住んで
いて、庭がありません。ミミちやんの内は魚屋さん、
モモちゃんのお内は洋服屋をしていて、友達二人
とも庭がありませんでした。
「どうしょうか?」
「どうする?」
広い野原の真中に種を蒔いて育てることに決まりました。
「最初の日はキキが水をまくわ」
「二日目はミミね」
「三日目はモモが水をやる」
かわりばんこに水をやって、育てることになりました。
原っぱの真中の雑草を刈って、石でかこいを作り
穴を掘って、種を埋めました。